冷たい密室と博士たち – 森博嗣

犀川&萌絵シリーズの第2弾。やっと、文庫になったのでさっそく購入した。 ノベルズ版は値段が高い。 最初に思ったのは、Fに比べて普通の話だということ。 細かいところでは、森らしくていいのだけれど、舞台設定やストーリーなど、 Fほどすごくない。より幅広い読者を獲得するために、こういうう風になって しまうこともあるのかもしれないと思った。 意味がないギャグがいいとか、数学は役に立たないところがいいとか、 前回と同じネタが気になった。こういう思考は大好きだし、森作品の本質の ひとつだと思うのだが、それだけに再利用はいただけない。 ストーリー的には、実は親子っていうのが安易に感じられた。 あと、ちょっとした表現として「恐竜の頭痛」とか、いいセンスだと思う。

動く家の殺人 – 歌野晶午

実際には家は動きません。長い家、白い家に続き、動く家で家シリーズも 3作目だと思うが、実はこのシリーズ、信濃譲二が探偵役だということに いまさらながら気がついた。なんといっても、信濃譲二という名前が あまりカッコよくないので、ただの感じの悪い変わり者みたいなキャラに 錯覚していたが、実は3作とも彼が華麗に解決してるのだ。 (華麗かどうか知らないが・・・) それでこの話、実は話の大部分において信濃譲二を名乗ってるキャラが 偽者なのだ。話が信濃譲二の1人称で、ちょっと読みにくいなぁとは 思っていたが、よく見てみると、偽者の部分は、地の文ではすべて「俺」と表現 していて、信濃譲二の名前が出てこない。 作者は地の文では嘘をついてはいけないという原則を一応は守っていたのだ。 結局、家が動くというのは偽者が考えた間違った推理だったのだけど、 現実的だね。それに伊沢さんがいい人すぎる。 人間年をとるというのはそういうものなのかな。